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連載です。
メモ帳には「リタっちがアホの子の話」と題がついておりますが(最初に書いたときの印象からつけた)、それでは題があまりにも・・・・なので
La traviata.様より、Raven*Rita 20 title.(本編より10題)から頂いて一話ごとにつけていこうと思います。
注意!
おっさんが犯罪者(性的な意味で)
リタっちがアホの子(〃)
リタっち視点で連載します。
中盤よりちょっと前くらいかな。
詐欺・淫行・犯罪病み中年とそれにコロコロ騙されてるリタっちの話です。
リタっちがアホの子仕様なのは気にしないで!
天才すぎて、ほかの事に興味が持てなかった(=知識ない)っていう話のはずが、なんでかアホの子に。
長かったり短かったりかなりバラつきがあります。
それではよろしければ暫くお付き合いください。
1・天才魔導士
熱い、というのが最初の感想だった。
意外と柔らかい唇が何回か軽く接触した後に、改めてくっつき合った。
髭が顎に当たってちくちくするが、痛いほどではない。
あたしにとって栄養を摂取する機関という認識しかなかったそれにこんな使い方があるのかと正直驚いた。
思わず開いた唇からぬるりとした感触の何かが侵入してあたしの口の中で蠢く。
それはあたしの舌を絡め取って引っ張り、付け根まで舐めまわす。
「・・・んっ」
くぐもった声が塞がれた口から漏れ出た。いい加減息が出来なくて苦しい。
予想以上に長続きしているそれを止めて欲しくて、伝えようと胸を強く叩いた。
後頭部を回された手で抑えられているのであたしからは逃れられないからだ。
あたしの意見を理解していないのか無視しているのか離れないそれに苛立って、何回か叩いてやっと開放された。
大きく息を吸い込むと途端に酸素が脳に一気に入り込んできて頭がぐらぐらした。
「どう?」
「どうって」
知らない感覚に眉をお顰めたあたしにおっさんは微笑んだ。
「リタっち、それは気持ちいいってことよ」
「きもちいい?」
言葉としては知ってる。
『気持ち』が『良い』。
二つの単語を組み合わせただけの簡単な言葉で、意味を理解するのもまた容易だ。
なのにおっさんの口から出た『きもちいい』はあたしの知らない、初めて聞く言葉のように耳に響いた。
言葉を知っていても、どういう意味か理解していてもそれがどういうことなのか結びつかない。
所詮あたしは本と魔導器だけの狭い世界に生きてきたってことだろう。
実際に体験してみて始めて、これが『きもちいい』っていうことなんだと知った。
あたしにはいろんな知識が欠けている。
今までずっと魔導器のことしか知ろうとしなくて、それでいいと思っていた。
それ以外のことは本さえあれば知識は得られるからそれで十分だった。
知らなかったことさえ知らなかった。
そしておっさんはあたしが知らないことを知っている、らしい。
あたしが知らなくておっさんが知っているという時点で気に食わない。
「おっさんが全部教えてあげる。だから、誰かに教えてもらっちゃ駄目よ?」
どうして他の人に教えてもらったらいけないのかよくわからなかったけど下手に反論して止められても嫌だからおっさんの言葉に黙って頷いた。
たぶん、あたしが知らないだけでそういうものなんだろう。
そんなことよりも憶えたての『きもちいい』をもっと知りたくて目の前のうさんくさいおっさんに手を伸ばす。
「もっと」