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ド○フの如く、「リタっち、うしろー!」と読み終わった後叫んでくれたら嬉しいな。
恐ろしいことにこれ、あといくつか似たネタがあるんです。
どうしよっかなー(苦笑
「リタっちー?ごはんできたわよー」
日もとっぷり暮れ、晩御飯の時間がやってきた。
食卓には彼女の大好物ばかりを並べ、甘いものが好きな彼女の為に甘いデザートも添えた。
「リタっち?」
我ながら会心の出来だった料理の香りが一面に広がるが、それでもリタは振り向かない。
「ねえってばーさめちゃうよー」
研究道具と本棚に囲まれた部屋の一番奥で入り口に立つレイヴンに背を向ける形で、机に一心不乱に向かい思いつく限りの言葉と計算式を綴っている。
「寂しくておっさん泣いちゃうわー・・・」
これは別に無視をしているわけではなく、それほど研究にのめりこんでいるということ、というのは分っているが少し寂しい。
レイヴンがリタの家に居ること事態、覚えていないのではないだろうか。
こうなったリタには旅の最中を含め何回も遭遇しているだけに、リタ自身が自分で還ってくるまでどうしようもないことは分っている。
ペンを取り上げれば流石に気付くだろうが、流石に最終手段にしたいところだ。
自分もみすみす研究中の精霊魔法の実験台兼餌食にはなりたくはない。
だが正直なところ自分はこの状況を厭ってはおらず、むしろ歓迎している面が大きい。
肩を落とし溜息を一つ吐く動作にしても、『レイヴン』としての動きを染み付い覗くた躰が勝手に動いているだけだ。
小さな躰に見合う小さな頭の中に入った頭脳には己のような凡人には分からない数字と計算と知識、理論と、直感で埋め尽くされているのだろう。
一心に机に向かう彼女は此処とは違う隔たった世界に存在しているように思える。
だからこちらが、どんなに熱意を以って見つめていても気が付くこともない。
露出の少ない服装から、僅かに覗ける白い首筋を眺めた。
その白い首筋は舐めたらどんな味がするんだろうかとぼんやり思う。
甘いもの好きの彼女らしくやはり甘いのか。
そして男に抱かれるとき、どんな風に甘えて啼いてみせるのだろうか。
こうやって欲望に満ちた視線で見つめられるのも、彼女が気付かないと確信できる今ぐらいしかない。
こんなことを、背後の男が考えてるだなんてリタは知らない、自分が知らせない。
もしも知っていたらこんな風に近寄らせなんてしないだろう。
リタにとって自分は、信頼はできるが基本的にどうしようもない女好きのおっさんという認識でしかない。
彼女の側にいられる位には信頼されてはいるが、リタにとって決して自分は「男」ではない。
普段リタの前で振舞う『レイヴン』が彼女を女として見ていないのだから、当然だ。
もしも、この場でリタを椅子から引き摺り倒して、その注意を自分に向けさせて。
床に組み敷いて、思う侭にその肢体を貪ったならば、どうなるのだろう。
とりあえず今まで培ってきた信頼とやらも、リタとの関係もなにもかもを失ってしまうのだろう。
それでもいいからリタが欲しい。
だが、今の関係も曖昧なままの、手に入りはしないが一番近くでリタを見られる地位も惜しい気がする。
結局自分を押し留めているのは正義感でもモラルでもなくそんな危うい曖昧な感情でしかないのだろう。
きっかけがあれば、簡単に境界線を越えてしまう程度だと認識している。だから、次にレイヴンが思ったことも彼にとってはなんら不自然なことではなかった。
喰らってしまおうか。
ふと、そんな思いが湧いてきた。
誰かに捕られる、その前に。
忘れられない快楽をその魅力的な躰に教え込んでしまえば、きっと、彼女は自分から離れられなくなる。
引き寄せられるように白い首筋に手が伸びて、柔肌に触れる、その瞬間。
リタが振り向いた。
「あれ、おっさん?」
「そそ、リタっちの為におっさんがご飯作ってあげたわよー。・・・・埃、付いてる」
何食わぬ顔で、リタの肩に乗った埃を払う動作をする。勿論埃などあるはずも無い。
「まあいいじゃないの。お陰でけっこういいところまで進んだのよ」
リタは椅子から降り大きく伸びをすると、居間の方へと歩いていく。
一人残されてたレイヴンは、ぽつりと呟いた。
「あーあ。逃げられちゃった」
残念だけど、また機会はある。
だからそれまでは、隣の『男』に気付かない、そのままの君でいて。